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【やまさんからの】豪華客船の神隠し 出題編1【挑戦状】
カテゴリ: 小説
 「ヤマオカ様御夫妻ですね?ようこそアフロディーテⅡへ。良き船旅をお過ごしください」
港での乗船手続きを終え、乗船タラップからいよいよ船に乗り込もうとする時に白い制服を着こなした乗り組員にそう声をかけられた。
金髪で長身の白人青年の乗り組員を目にした時に一瞬身構えたが、彼の流暢な日本語に思わず安堵の笑みがこぼれた。
「ありがとう。よろしくね」
妻がそう言葉を返し、二人で歩を進める。

 アフロディーテⅡとは、この大型客船の名前である。いわゆる豪華客船として知られているこの船に、金持ちでもなんでもないこの私が乗船することが出来たのは、全くの幸運だった。

 ある日新聞に載っていた広告記事。それは簡単なアンケートに答えれば抽選で2名1組に豪華客船での世界一周の旅が当たると言うものだった。
『豪華客船 アフロディーテⅡで行く世界一周の旅プレゼント!!』
その魅力的な言葉に惹かれ、ポストに投函したたった1枚の葉書が、まさかこの幸運を引き寄せるとは・・・・。
もちろん淡い期待はしていたが、まさか本当に当選するとも思っていなかった。

 長年勤めていた警視庁を昨年に定年退職し、暴力団対策の一環として雇われていたシティホテルに半ば強引に長期休暇をもらい、夢のような今回の旅行がようやく実現したのである。

 乗船し、私たちに割り当てられた客室に荷物を収め、妻が淹れてくれた客室備え付けのコーヒーで軽く一息いれてから、私たちは船のパンフレットを手に船内を散策することにした。

 長い船旅を飽きずに過ごせるように、船内各所に設けられた施設の数々。
映画館やエンターティナーによるショーが楽しめるショーラウンジ。生演奏でダンスが楽しめるダンスホール。大型の図書館やインターネットを楽しめるパソコンルーム。数箇所あるレストランは和・洋・中、そしてコーヒーラウンジやバーもある。
カジノやテニスコート、プール、そしてフィットネスクラブ。エステサロンやジャグジー、サウナを備えた大浴場。外科手術にも対応可能な医務室もある。
1つ1つを挙げていけばキリがないが、これはもはや小さな街である。

 最初は二人で感嘆の声をあげていたが、その声はだんだんと小さくなっていった。
抽選で乗船した私たちとは違い、他の乗客は正規の金額を支払って旅をする人達ばかり。すれ違う人達は、今流行の言葉で言えば「セレブ」ばかりなのだ。
いくら私たちが鈍いと言っても、ここまでの差があれば、自分たちが「場違い」な場所にいるという事くらいは解る。

 「私たち・・・浮いてるわよね」
妻が小声でそう言って、私を見ながらふふっと小さく笑った。今まで一体何度、この妻の明るさに救われてきただろうか。
 「ああ。あ、今の人の腕時計、ロレックスだよな。すごいな、きらきらして」
半袖のTシャツで、闊歩する初老の男性とすれ違った男性の腕にソレが見えた。
「あなたの時計はオリンピック公式時計のシチズン製よ、質実剛健。あなたにピッタリだわ」
 今度はブランド物で着飾った女性とすれ違った。
「すごいわね。ヴィトンのバッグにシャネルのスーツ・・・他にもたくさん」
「まるで広告をベタベタと貼り付けたF1マシンだな。高い金額を支払って看板を背負ってるようなモンだ」
「恥ずかしいのは持っていないことじゃなくて、それを妬む心よね」
「お!いいこと言うねぇ」
そういって二人で顔を見あわせて笑った。周囲の人も何事かとこちらに一度視線を向けたが、すぐに元に戻した。
「お前と結婚して良かったよ」
「私もよ」
私の言葉に、妻が笑顔でそう返してくれた。

 船内の施設を一通り廻り終えた頃、腕時計に目をやると出航の予定時刻が近づいている。
「外に出ようか」
そう妻を促して甲板デッキに向かうエレベーターに乗り込んだ。

 まもなく到着したデッキには既に多くの人達がいて、それぞれがカメラやビデオカメラを手に、出航を待っていた。
皆、笑顔だ。これからの数ヶ月、私たち夫妻は彼らと共に世界を旅する事になる。
「そんなに悪い人達はいなさそうだね」
出航の準備を進める港の様子を眺めながら、横にいる彼女に小さな声で話しかけた。
「うん。私も同じ事を思ってた」

 空は西に日が沈み始め、綺麗な茜色に染まっている。
 その時、妻の携帯が鳴った。その着信音で相手が誰なのか私にも判る。
相手は女性、水谷みどり。旧姓は香川。私の妻のあかねとはかつて同じ職場で働いていた人物だ。
「そう、今から出航するところ。え?先生も来てるの?どこよ、全然わからない」
話から察するに“先生”と二人で見送りに来てくれているようだ。
 「うん?水谷とみどり君が二人で来てくれてるのか?どこだって?」
「うん、そうらしいんだけど・・・・え?どこ?灯台?」
灯台に二人して目を灯台に目を向けた。
「あ!いた!!」
声を二人して同時に声をあげ、同じ方向を指さした。

 一組の男女がそこにいた。こちらに大きく腕を振っているみどり君と、その傍らに長身の男が一人。
妻が“先生”と呼び、私が“水谷”と呼ぶ、その男の名は水谷光司。

 水谷は私の古くからの友人であり、かつては「名探偵」としてその名を知られた男だった。探偵と言っても浮気調査や家出人を探す探偵ではない。
迷宮入りしそうな事件や、不可解な事件に首を突っ込んできては、その事件の真相を暴いていく、金田一耕介や明智小五郎といったタイプの探偵だった。
 私の妻あかね(旧姓 杉森)とみどり君は、その水谷探偵事務所で情報収集やサポートをする助手的な役割を勤めていた。
 探偵だったと、過去形になっているのはそのままの意味で、水谷はもう探偵事務所を閉めたのだ。
彼にその理由を言わせると

 「DNAだのなんだのと、科学捜査がここまで進歩すれば探偵がでる幕は無いよ。こういっちゃなんだけどそのおかげで魅力のある事件が無くなったんだ」

だそうだ。
 
 今は現役時代に自分が解決した事件を題材にした回想録を出版し、それなりの収入を得ている作家となっている。

 あかねがみどり君と話している間に大きな汽笛が鳴り、船がゆっくりと動き出した。
 私も携帯電話を取り出し、水谷に電話をかけた。
「来てくれたのか。早めに言ってくれれば港の喫茶店ででも話ができたのに」
『そうしたかったんだが道が込んでてね、間に合うかどうかギリギリの線だったからさ。実際着いたのもついさっきなんだ』
「そうか、わざわざありがとう」
『それにしても大きな船だな。船内はさぞ凄いんだろうな』
「ああ。噂には聞いていたし、当選してから色々と調べはしたが、実際この目で見てみると想像以上だぞ。その辺のホテルじゃ太刀打ちできないだろうな」
『そうか、楽しんでこい。食事はどうなってるんだ?』
「船内の買い物や、寄港地での買い物以外は“招待客扱い”だよ。1日3食全部タダさ。今回の抽選はアフロディーテⅡの経営会社の企画だからね」
『お前のせいでみどりが“私も行きたい!”ってうるさいよ。連れて行くって言うまでしばらく言われそうだ』
電話の向こうで、水谷が軽く苦笑いしている顔が思い浮かぶ。
「連れて行ってやれよ。出す本出す本、全部ベストセラーじゃないか。あかねから聞いたが映画化の話も来てるらしいな。印税凄いことになってるだろ」

 そんな話を交わしていると電波状況が悪化してきた。
岸もいつの間にかずいぶん遠くに見える。
『これで切るから、楽しんでこいよ。その船、もう巨大な密室だからな気をつけろよ~』
 そう言って水谷が電話を切った。そしてその「巨大な密室」が、現実となって私を悩ませる事になろうとは、この時の私にはまだ知る由も無かった。


00:31 UP
※Read moreから「やまさんからの挨拶」


*********************
「やまさんからの挨拶」
どうも。
初めてブログ上で小説らしきものを書いた者です。

知ってる人もいるかとは思いますが、私・・・昔、趣味で小説を書いてました。
中学の頃から大学ノートに書き始め、高校の時にはそのノートを友人に貸してる間に他校の生徒にも読まれるようになってました。

上手とか下手とかは別にして、文章を書くのは子供の頃から大好きでした。
きっかけは先生に作文を褒めてもらってた事でしょうね、間違いなく。
本を読むのは昔から大好きだったし、文章を書くのはその延長線上にあるし。

実は今回登場したヤマオカ(山岡栄一刑事)も、その妻である杉森あかねも、香川みどりも。
そして何より水谷光司も、その頃に書いていた小説の登場人物の面々です。
彼らに「再会」したのはなんと、ほぼ20年ぶり?

ずいぶんと長く本編を書きましたが、この時点ではまだ「事件」も発生していないし、重要なヒントもまだ出していません。
今回はあくまでも導入部にすぎません。
ですから、そんなに本気で読んでもらわなくて結構です。
軽く読み流してください。

この後、数回の出題編の後に、私が皆さんに挑戦状を出します。

「解決に向かうヒントは全て提示しました。この事件の真相を暴いて下さい」

と。
この企画に挑戦していただける方は、一旦秘密コメントでその「真相」を私に教えてください。
解決編をUPするまでに正解者(複数出た場合は、一番最初に正解した人)に何か賞品を、と考えています。
まぁ、そんなに高価なものは出せませんが^^。
尚、解決編をUP後、皆様の秘密コメントは一転!公開します!!

皆様の挑戦、心よりお待ちしております^^

*********************
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Edit / 2009.06.19 / Comment: 5 / TrackBack: 0 / PageTop↑
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Author:やまさん
Illustrations by 「遼」さま

ライブドアブログより引っ越してきました。

趣味は、キャンプやバイクツーリング、読書、インターネット、ゲーム等。
現在独身の♂。
誕生日は2/22(ここ重要)
「ブログもプロレス」をモットーに楽しんでもらえるブログ作りを心がけてます。
どうぞ皆様御贔屓に。

前ブログ「やまさんのお気楽日記」
http://blog.livedoor.jp/yamasann0940/

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