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【やまさんからの】 豪華客船の神隠し 出題編2 【挑戦状】
カテゴリ: 小説
 アフロディーテⅡが出航しても、しばらくは誰も船内には戻ろうとはしなかった。
 あまりにも甲板から見える夕日が美しかったからだ。
真ん丸に。そして見事なほどに周りの空を茜色に染めて沈んでいく夕日。
これほどまでに心を奪われる夕日は、これまで見たことが無かったような気がする。
 いや・・・美しい夕日は今までもきっと何度も目にしている筈だ。
ただ、その美しさに心を奪われる余裕が私に無かったのだろう。

 甲板に備えられたテーブル付きの椅子に腰掛けて沈んでいく夕日を眺めていると、いつの間にかその場から離れていた妻が、バーコーナーからビールの入ったグラスを2つ手に持って戻ってきた。
「飲むでしょ?」
「ありがとう。
妻の言葉にそう応え、グラスの1つを受け取った。そしてグラスを合わせ、2人だけのささやかな乾杯。
チン、と小さな音を立てたグラスの中の泡が、夕日に映えて美しかった。

 「綺麗な夕日だな」
「うん。すごく綺麗・・・・」
二人とも顔を見合わせる事無く、そう言葉を交わしビールを飲む。
 「しかしアレだな。たった一枚の葉書でも出してみるモンだな。まさか、こんな贅沢な旅ができるなんて刑事の頃は考えた事も無かったよ」
「そうね。あなたにそんなくじ運があるなんて思いもしなかった」
「お前は結構行った事あるもんな、海外旅行」
「まぁ、水谷事務所の慰安旅行みたいな感じでね。先生とみどりと3人でだけど」
 
 水谷はマスコミ受けするタイプの探偵そのものだった。
長身で顔も悪くない。弁は立つし、会話もよどみが無く理路整然としている。
 今は作家として収入を得ているが、現役時代は何度となくマスコミの取材を受け、本業以外の収入もあり、年に一度は2人の助手・・・あかねとみどり君を連れて旅行していた。
 一方、私は警視庁の警察官を拝命後、機動隊、交番勤務を経て捜査一課の刑事を長年勤め上げた末、昨年に退職。今はホテルの暴力団対策の、いわば“用心棒”
 刑事と言えば聞こえはいいが、生活に“おおいに”ゆとりがある水谷を羨ましく思った事が一度も無いと言えば、それは嘘になる。
 今は私の妻であるあかねもかつては、水谷の細君であるみどり君と同じ水谷探偵事務所の助手だった。あかねが水谷の妻となっていたとしても、何の不思議も無いのだ。
 今や大作家の妻であるみどり君。そして元刑事でホテル勤めの“用心棒”の妻に過ぎないあかね。
 妻がどう思っているのかは知らないが、妻に対する表現しづらいその“申し訳なさ”は、いつも私の心の片隅にあった。

 自分の“稼ぎ”に拠る物ではないと解ってはいるが、今回の豪華客船での世界一周の旅はその“申し訳なさ”を払拭させてくれた。
 当選を知らせる通知が届いた時は、単にその夢のような旅が出来る喜びよりも、不満らしい不満も言わずに私を支えてくれた妻に、喜んでもらえるという喜びの方がはるかに強かったのだ。

 次第に暗くなっていく甲板を見回してみると、乗客がかなり“多国籍”である事に気づく。
そしてそれはこの先、寄港地に到着・出航する度によりハッキリと色濃くなっていくだろう。

 実は、このアフロディーテⅡに乗船している客の全てが、私達夫婦のような【世界一周コース】の乗客ではない。
 アフロディーテⅡは日本船籍の船で、私達が乗ってきた横浜港から出航し神戸港へ。
そしてその後、いよいよ外洋に出て行くのだが、その先々の寄港地で乗り降りする乗客も多数存在する。
高価な【世界一周コース】だけに乗客を限定し無駄な空き部屋を作るよりは、極力“満室”状態を保つという営業方針に基づくもののようだ。
 飛行機で日本を訪れた、ヨーロッパやアラブの富豪たちがアフロディーテⅡでの船旅で帰国するという利用の仕方も、かなりの数にのぼるのだという。
 最大乗客数はほぼ900名。それとは別に乗組員数が約440名だというのだから、いかにこの船が巨大な船か解るだろう。

 沈んでいく夕日を見つめながら、これからの旅に思いを馳せている内に夕日はすっかりと沈んでしまい、辺りもすっかり暗くなってしまった。
 「もうすぐ夕食の時間よ。着替えに戻りましょう」
妻に促され飲み干したビールのグラスを手に席を立つ。バーコーナーの返却口にグラスを返し、私達の部屋に戻る。
 
 アフロディーテⅡでは、細かな「ドレスコード(服装指定)」が設けられている。
日中の船内や寄港地での行動は、常識的な範囲であれば普段着で構わないのだが(客室内では自由)17時以降のパブリックスペースでは、事前にアフロディーテⅡが指定したドレスコードに従わなければならない。
 「カジュアル」「インフォーマル」「フォーマル」・・・「カジュアル」「インフォーマル」ならば、私が持っている服で対応可能だったが、「フォーマル」には私も妻も困った。
 私はタキシード、妻はイブニングドレスを新調し、無事安心して乗船できるようになった。

 今日のドレスコードは「インフォーマル」、私は黒のシングルスーツにネクタイ。妻はブルー系のワンピースに着替えた。
 乗船時に手渡された、客室の番号と私達の名前が全ての食券に記載された冊子式の食券綴りから、今日の夕食分の食券2枚を切り取り、レストランに向かう。
 レストランは和・洋・中とあるのだが、洋に至ってはフランス料理、イタリア料理、そして更にビュッフェ料理が食べられる店まである。
 和食は所謂和食、そして寿司屋(寿司屋は実費となる)。中華は広東料理の一店のみのようだ。

 乗客は食事の際、どの店舗を使っても良い事になっているが、それは食券と引き換えになっており、ひとりの客が何店舗もの“はしご”をするのを防ぐようになっている。(実費で支払うのなら“はしご”も可能だが)
 寿司屋以外の店舗は、それぞれがかなりの広さを持っており、席は当然自由席で、グループで食べるも良し。長い航海で気の合った乗客同士で相席するも良し。自由はかなり利くようだ。

 私達の今晩の食事は、航海初日の記念という事で、普段は食べることが少ない
「フランス料理!」
で意見が一致した。
 食事自体は“込み”の旅行だが、アルコール飲料と炭酸飲料については実費計算となる。
しかし、アルコールなしの夕食ではそれも寂しい。まして今日は記念すべき夜だ。
まずはビールで乾杯し、グラスワインを注文し、運ばれてくるフランス料理のフルコースを楽しんだ。

 「さすがはアフロディーテⅡのレストランよね。すごく美味しいわ」
一皿一皿運ばれてくる料理の全てを、笑顔で口にする妻を見ていると、こちらまで楽しくなってくる。
食べつけないフルコースだし気取った(というワケでもないのだろうが)、たまにはこういう食事も悪くない。そんな夕食だった。


 
応援よろしく おかげさまでそこそこいい調子^^ありがとうございます^^ 


07:14 UP

※Read moreから「やまさんからのひとこと」


*************
どうも。
セブンイレブンで販売している「シャービック」にはまっている者です。

うーん、なつかしの味^^


さてと。
今日も事件はおきませんでしたね^^

ですが。
こっそりお教えしましょう。

実は今回の記事から、少しづつ「手がかり」を提示していきます。

「巨大な密室」となった、山岡栄一 元・警視庁捜査一課の刑事、そして名探偵 水谷光司の元・助手であるあかねが巻き込まれる事件とは!?

では、次回の出題編3でお会いしましょう^^


追伸。
私、推理小説ばっかり書いてたワケじゃないんです。
むしろ苦手な方でした。つーかめっちゃ苦手でした。
次に小説UPする時は、推理小説以外にしようっと f(^^;)

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Edit / 2009.06.21 / Comment: 3 / TrackBack: 0 / PageTop↑
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ライブドアブログより引っ越してきました。

趣味は、キャンプやバイクツーリング、読書、インターネット、ゲーム等。
現在独身の♂。
誕生日は2/22(ここ重要)
「ブログもプロレス」をモットーに楽しんでもらえるブログ作りを心がけてます。
どうぞ皆様御贔屓に。

前ブログ「やまさんのお気楽日記」
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