前ブログから読んで頂いている方はご存知かと思いますが・・・
私はかつて、某大手興信所の調査員、つまり探偵として勤務していた時期があった。
調査内容は「浮気調査」「行動調査」「ストーカー対策」「家出人捜査」等、様々。
そんな探偵時代の思い出を書き綴っているのが、カテゴリ「探偵物語」。
ブログ引越し後初の「探偵物語」の投稿は、私が担当した家出人捜索のお話。
家出人捜索を受件する場合は、依頼人が親族である場合に限られる。
今回の依頼も当然、家出人の両親。
(探偵を辞めた今でも秘守義務があるので、個人情報につながる詳細は省きます)
家出人は依頼者の娘。20代前半の独身女性(以後A子と称す)。
家出に関しての書置きなどは無く、ある日突然、一人暮らしのアパートから姿を消した。
部屋の中の家財道具は残っており、数着の衣服や財布等を持って出た以外は
所持品をロクに持ち出した形跡は無い。
家出の理由は
「多重債務」家賃も滞納していたが、大家から連絡を受けた両親が肩代わりした為、部屋は
そのまま残されていた。
長崎県での調査となったこの「事件」
まず最初は、福岡調査室のエースM主任がとりかかった。
A子のアパートを数日張り込みも変化無し。
他の現場への移動も近付いてきた。
そこに「浮気現場の証拠写真を撮影したら終了」という「仕事」をしていた
私から業務連絡の電話。
「主任!やりましたよ!!ホテルから出てくる二人をバッチリ!!二人の顔も車のナンバーもキレイに写ってます!!」
と俺。
「ほんなごつね!?やったやんね!!」(本当に!?やったジャン!!)
と主任。
てっきり事務所に戻り、調査報告書の作成を命じられると思っていた俺。
一週間ぶりに布団で寝れる!!そんな期待で一杯だった俺。
「そしたら俺と交代」
「は?」
予想外の展開に驚く俺。
「主任の現場、今ドコでしたっけ?」
「長崎」
「俺、今山口なんですけど」
「高速使えばよか」
「はぁ・・・んん?今からですか!?」
「待ってるから」
自分のアパートに戻って、ビール飲んで、布団で寝るつもりだった私の計画はお預けに。
山口の現場を撤収し、急ぎ長崎へ。
ちなみに時間は21時過ぎだった。長崎に着いたのは真夜中。
A子のアパート前でM主任と合流。
内偵がてらA子のアパートと勤務先を廻り、依頼書と周辺の地図をまとめたファイルを引き継ぐ。
二人でファミレスに行き食事を共にする。
俺が山口で撮影した証拠写真と、ネガを主任に手渡し主任と別れた。
主任から教えてもらった仮眠ポイントに移動。
8日目の車中泊。
「エコノミー症候群で死ぬかもしれない」ぼんやりと自分の死因を推理しながら眠りにつく。
夜が明け、A子宅に移動。
途中のコンビニで買った朝食、パンと牛乳を胃袋の中に納めながらA子の特徴を再確認。
「身長160センチ程度、体重(忘れた)キロくらい。かなりの痩せ型。
メガネを使用。黒髪でショートカットか・・・・・借金総額・・・500万円程度・・・アコムや武富士などのサラ金業者・・・クレジットカードでの買い物も多数・・・・」
状況を改めて頭に入れていく。
「あれ?」
ファイルをあさる。
「おや?」
再度あさる。
写真がない主任に電話。
主任は既に、福岡県にある航空自衛隊築城基地そばの現場に入っていた。
「写真がないんですけど」
「ごめん。俺の車にのったまま」
ごめんって・・・・
「特徴は結構細かく書いとーけん判るやろ?」
「いやぁ・・・・自信ないかも・・・」
そりゃ、部屋の鍵を開けて中に入れば
「アイツだ!!」と思うだろうけれど。
街中には、その条件を満たす女なんて掃いて捨てる程いる。
「とにかく写真無しで頑張ってみて。じゃ」
電話が切れた。
一体どうなってしまうのか!!(ガチンコ風)
次回に続く
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